近年、地方移住への関心が高まる中で、首都圏からのアクセスが良い静岡県は高い人気を保っています。ふるさと回帰支援センターの「2024年 移住希望地ランキング」(2025年2月発表・回答19,021名)でも静岡県は2位で、2020年からの4年間は1位でした。しかし、検索窓に「静岡 移住」と打ち込むと、サジェストに「静岡移住 やめとけ」という不穏な言葉が出てくることも事実です。
筆者は横浜市で生まれ育ち、都内勤務を経て2022年に静岡市へ移住しました。本記事では、実際に暮らして分かったリアルな体験談をもとに、静岡への移住はやめとけと言われる背景や、後悔しないためのチェックポイントを解説します。
【結論】「静岡移住はやめとけ」は半分本当(2022年に移住した実感)
- 「やめとけ」の核心は車社会。ただし静岡市の中心部なら、私は車を持たずに暮らせています。郊外や中山間地域は車が前提で、住むエリアで結論が変わります
- 家賃は「同じ間取りなら安い。広さを取れば総額は上がる」のが実感。私は都内のワンルームから2LDKへ移り、部屋の広さは約3.3倍、住まいのグレードも少し上がった一方で、家賃は約1.6倍に収まりました
- 新幹線「ひかり」で東京駅まで約1時間=打ち合わせは日帰りで足ります。結論は「地元で転職するなら給与水準の差は現実。いまの仕事をリモートで持ち込めるならむしろ有利」
静岡移住で感じた7つのメリット【東京暮らしと比較】

「静岡での暮らしはやめとけ」という声がある一方で、実際に移住してみると想像以上に快適な面も多いです。特に東京での生活と比較して感じたメリットを7つご紹介します。
1. 首都圏との絶妙な距離感
静岡県は「地方」でありながら、首都圏とのアクセスが抜群です。
- 新幹線: 東京駅から静岡駅まで「ひかり」で約1時間。急な出張や友人との予定も調整しやすく、「静岡に移住して失敗した」と感じにくい大きな要因です。
- 車: 新東名高速を使えば東京ICから静岡ICまで2時間弱。家族での移動にも便利です。
2. 年間通して温暖で過ごしやすい気候
「静岡は暖かいから移住したい」という動機は正解です。
- 冬の暖かさ: 真冬でも氷点下になることは稀で、雪はほとんど降りません。東京の厳しい寒さが苦手な方には最適です。
- 日照時間: 静岡県の年間日照時間は全国4位(2,151.5時間。全国平均は1,915.9時間/気象庁の平年値・1991〜2020年)。晴れの日が多く、洗濯物の乾きやすさや日差しの明るさは日常的に実感します。
3. 生活コスト、特に家賃が抑えられる
- 家賃相場: 静岡市の家賃は1LDKで8万円台、2LDKで9万円台あたりが目安です(2026年時点の各社相場データ。築年数や駅からの距離で上下します)。東京23区の同じ条件と比べれば、同じ間取りなら明確に安くなります。
【実体験】家賃の総額は上がりました。ただ、増えた広さのほうがずっと大きいです。私は都内のワンルームから静岡市の2LDKへ移ったので、家賃そのものは東京時代より高くなっています。ただ部屋の広さは約3.3倍になり、住まいのグレードも少し上がったうえで、家賃は約1.6倍に収まりました。面積あたりの家賃で見れば半分以下です。「静岡に移れば家賃が下がる」というのは同じ条件どうしを比べた場合の話で、実際には同じ予算で住まいの広さと質を大きく上げられると考えたほうが実態に近いと思います。なお光熱費と食費は、体感では東京時代とほとんど変わっていません。
4. 日常に「豊かな自然」がある
海、山、川が近く、仕事終わりに海岸で夕日を見たり、休日に富士山を眺めながらキャンプをしたりする生活が日常になります。
5. 食の宝庫!何を食べても美味しい
清水港や焼津港の鮮魚、静岡茶、静岡おでんなど、地のものが身近にあります。海鮮と日本酒がとくにおいしく、価格も抑えめだと感じています。
6. 温泉・サウナ・海が生活圏に入る
移住してから習慣が変わったのが、温泉とサウナです。静岡市には駅から歩ける範囲に天然温泉を備えたホテルもあり、思い立ったときに行けます。海も近く、休日の過ごし方の選択肢が自然と増えました。東京にいたころは「わざわざ出かける特別なもの」だった時間が、日常のなかに収まっている感覚があります。移住して新しく習慣になったことを挙げるなら、まずこの温泉とサウナ、そして地のものを楽しむことです。
7. 東京だけでなく、関西や熱海・横浜にも動きやすい
東海道のちょうど真ん中という立地なので、東京方面はもちろん関西方面にも移動しやすいのは、移住してから気づいた利点です。熱海や横浜も日帰りで行ける距離にあります。「地方に移ると出かけにくくなる」と思われがちですが、静岡に関しては行き先の選択肢はむしろ広がりました。
「静岡移住はやめとけ」は本当?後悔する人の特徴とリアルなデメリット

なぜネット上で「静岡移住はやめとけ」という意見が見られるのでしょうか。移住後に後悔しやすいポイントを整理しました。
「車社会」への適応ができないと厳しい
静岡市の中心部以外では、車がないと生活が成り立ちません。
数字でも傾向は出ています。1世帯あたりの自家用乗用車の普及台数は、静岡県が1.344台(全国19位)なのに対し、東京都は0.405台(同47位)です(自動車検査登録情報協会「都道府県別の自家用乗用車の普及状況」令和7年3月末現在)。1世帯に1台以上が当たり前という前提は、東京から移ると生活設計に効いてきます。
- 行動範囲: 商業施設や病院、自然スポットの多くは郊外にあります。
- 維持費: 同じ間取りなら家賃を抑えられても、ガソリン代や駐車場代、自動車税などの「車コスト」が新たに発生します。車の運転が嫌いな人にとって、静岡への移住はやめとけと言われる最大の理由です。
【実体験】静岡市の中心部なら、車なしでも暮らせています
前述のとおり統計上は車の保有が前提の県ですが、住むエリアを絞ると話が変わります。「静岡移住はやめとけ」の理由としてもっとも多いのが車社会ですが、私は移住して以来、車を持たずに生活しています。静岡駅の周辺は街がコンパクトにまとまっていて、買い物も食事も日常の用事は徒歩で足ります。少し離れた場所へも自転車があれば十分です。遠出をするときだけレンタカーを借りていますが、いまのところそれで困っていません。
ただし、これは住まいが中心部だから成り立っている話でもあります。次のような場面では、車があったほうが明らかに快適だと思います。
- 家族の送り迎えが日常的にある
- まとめ買いなど、重い荷物を運ぶ機会が多い
- 中心部から離れたエリアに住む、または郊外へ出かけることが多い
つまり「静岡は車社会だからやめとけ」は、住むエリアと暮らし方によって結論が変わります。車を持たない前提で移住したいなら、静岡駅を中心とした徒歩・自転車圏で住まいを探すのが現実的な選択肢です。
仕事の選択肢と給与水準の変化
- 求人の種類: 製造業やサービス業は豊富ですが、IT・外資系・スタートアップの求人は首都圏に比べると限定的です。
- 給与: 全体的に首都圏より水準が下がるため、フルリモートの仕事を維持したまま移住するか、事前にしっかりとした転職活動が必要です。
【実体験】東京の仕事を静岡でしています
「静岡は年収が下がるからやめとけ」という話は、たしかに地元で転職する前提ならあたっていると思います。ただ、私自身は少し違うやり方をしていて、東京に会社を置いたまま静岡に住み、仕事はリモート中心で回しています。実際にやってみた感覚を、正直に書いておきます。
オンライン中心で、仕事はほぼ問題なく回る
打ち合わせも実作業もオンラインが前提になった今、住んでいる場所が仕事の質に響く場面はほとんどありません。少なくとも私の仕事(SEOやコンテンツ制作)では、静岡にいることで困ったことは思い当たらないくらいです。
それでも「時々の上京」はある。ただ日帰りで十分
とはいえ完全にゼロにはならず、打ち合わせなどで東京に行く機会は定期的にあります。ここが移住を考えるときのポイントだと思うのですが、静岡からなら日帰りで十分に間に合います。移動が苦になる感覚はほとんどなく、都内で長い時間をかけて通勤するのと大きくは変わりません。
逆に言えば、この「日帰りできる距離」が成立しているからこそ、東京の仕事を持ったまま静岡に住むという選択が現実的になります。移住先を選ぶときは、いま持っている仕事との距離感を先に確認しておくと失敗が減ります。
弱点は、都内のオフラインの機会を逃しやすいこと
日々の業務がオンラインで回る一方で、展示会やセミナー、交流会といったオフラインの行事は、いまも都内に集中しています。日程が合えば行けますが、片道1時間かけて出向く前提になるぶん、「近くでやっているからのぞいてみる」という参加の仕方はしにくくなりました。ここは移住してはっきり感じているデメリットです。
対策としては、上京する用事がある日にまとめて予定を入れるのが現実的です。とはいえ、偶然その場に居合わせて生まれるつながりのようなものは、どうしても減ります。仕事で人と会う機会そのものが価値になる職種の人は、この点を移住前に見ておいたほうがいいと思います。
結論:リモートで働ける職種なら、静岡はむしろ有利
まとめると、静岡移住で年収の話が問題になるかどうかは、「地元で仕事を探すのか」「いまの仕事を持っていくのか」で結論が正反対になります。前者なら給与水準の差は現実として受け止める必要がありますし、後者なら——つまりリモートで働ける職種なら——収入を維持したまま、住まいにかかるコストの「効率」を上げられます。同じ家賃でより広い部屋に住むこともできますし、住居費そのものを抑える方向に振ることもできます。どちらを選ぶかは人によりますが、選択肢が増えるのは確かです。
「静岡移住はやめとけ」と言われたときに考えるべきなのは、静岡そのものの善し悪しより、自分の仕事がどちらのタイプかではないかと思います。あわせて、オフラインで人と会う機会がどれだけ仕事の成果に直結するかも、移住前に一度考えておくと判断しやすくなります。
駅の名前だけで住むエリアを決めない
移住前にいちばん知っておきたかったのは、これです。静岡駅の周辺は商業施設が集まっていて便利ですが、同じ市内でも駅ごとに環境の差が大きいのは、移住して実感したことのひとつです。駅のすぐそばにコンビニやスーパーがない場所もあり、東京の「駅前ならひと通りそろう」という感覚のまま物件を決めると、生活動線でつまずくことがあります。
対策はシンプルで、内見のときに実際に歩いてみることです。駅から家までの道のり、いちばん近いスーパーとコンビニ、そして夜道の明るさ。この3つを自分の足で確かめておくと、住み始めてからのギャップはかなり減らせます。地図やネットの情報だけで判断しないほうが安全です。
買い物の「頻度」が変わる
生活のリズムで一番変わったのが、買い物の仕方です。東京にいたころは店の密度が高く、仕事帰りに少しずつ買うのが当たり前でした。静岡に移ってからは、その頻度が自然と下がり、一度にまとめて買うスタイルに寄っています。どちらが良い悪いというより、生活の組み立て方が変わるという話です。
ここは車を持つかどうかとも直結します。まとめ買いは荷物が重くなるので、車があると明らかに楽です。私は車を持たない代わりに、徒歩圏にスーパーがある場所を選ぶことで解決しました。車なしで移住したい人は、物件選びの段階で「最寄りのスーパーまで何分か」を必ず確認しておくと安心です。
都内の友人と「気軽に」は会えなくなる
新幹線で約1時間とはいえ、「今夜ちょっと飲もう」という距離ではありません。ここは移住してはっきり変わった点です。ただ、会えなくなるわけではなく、私の場合は仕事で東京に行く予定に合わせて連絡し、まとめて会うようにしています。頻度は減りましたが、一回あたりに取れる時間はむしろ長くなりました。人付き合いの密度を保ちたい人は、この切り替えができるかどうかが分かれ目になります。
地域コミュニティとの距離感
郊外や中山間地域では、町内会や消防団などの地域活動が求められる場合があります。「都会のような完全な匿名性」を求める方は、住むエリアを慎重に選ばないと、静岡移住で後悔することになりかねません。
静岡移住で失敗しないためのおすすめエリア3選
「静岡移住はやめとけ」という言葉を鵜呑みにせず、自分の目的に合ったエリアを選ぶことが成功の鍵です。
- 静岡市(バランス型): 利便性と自然のバランスが良く、移住初心者におすすめ。
- 浜松市(仕事重視型): 製造業が盛んで仕事の選択肢が多く、活気があります。
- 三島市・沼津市(アクセス型): 新幹線で東京まで通勤圏内。リモートワークと出社を併用する方に最適です。
ただし、どのエリアが自分に合うかは、実際に足を運んでみないと分かりません。とくに「車社会」の感覚や街の雰囲気、生活動線は、数日滞在してみるだけでも印象が変わります。候補エリアが絞れたら、いきなり移住を決めてしまう前に、まずは週末の下見から始めることをおすすめします。宿の検索は楽天トラベルが便利です。
FAQ(よくある質問)
- 静岡に移住して一番「失敗した」と感じる瞬間は?
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最も多いのは、交通の便(車社会)に関する不満です。 都市部以外では車が生活の前提になる地域が多く、免許がない、あるいは運転が苦手な方からは「静岡移住はやめとけ」という声が上がりがちです。まずは静岡駅や浜松駅周辺など、車なしでも生活できるエリアから検討することをおすすめします。
- 移住支援金をもらうための条件は厳しいですか?
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条件はありますが、リモートワークで移住する人も対象になり得ます。静岡市の移住・就業補助金では、移住元の要件として東京23区の在住者に加えて「東京圏に住み、東京23区へ通勤していた人」のルートがあります。さらに移住後の要件も、指定の求人サイトを通じた就職だけでなく、移住元の業務をテレワークで続ける形や起業なども認められています(令和8年度の場合)。私自身も、東京23区へ通勤していた立場から静岡市へ移り、テレワークを続ける形で申請しました。
支給額は単身か世帯かで異なり、18歳未満の子どもがいる場合は加算があります。一方で「転入後1年以内に申請」といった期限や、一定期間内に市外へ転出した場合の返還規定もあります。金額・要件は年度ごとに変わり、予算に達すると期限前に受付が終わることもあるため、検討する際は必ず静岡市の公式ページで最新の内容を確認してください。
- 「静岡の人は閉鎖的」と聞きますが、人間関係で苦労しますか?
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エリアによりますが、極端に心配する必要はありません。 静岡市や浜松市などの市街地は転勤族も多く、東京と変わらない距離感で生活できます。一方で、中山間地域(オクシズなど)では地域行事への参加が求められることもあります。「静かに暮らしたいのに、地域の付き合いが多すぎる」というミスマッチが「静岡移住はやめとけ」という極端な意見につながるケースがあるため、事前の現地見学が重要です。
- 冬の寒さは本当に厳しくないですか?
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沿岸部の平地であれば、冬でも非常に温暖です。 ただし、御殿場市などの東部や山間部は雪が降るほど冷え込みます。「静岡=どこでも暖かい」と思い込んでエリアを選んでしまうと後悔する可能性があるため、希望エリアの冬の気温は必ずチェックしてください。
まとめ:静岡移住は「計画性」があれば後悔しない!
「静岡移住はやめとけ」という声の多くは、車社会への不慣れや仕事のミスマッチから来るものです。しかし、それらは移住前に確かめられることばかりです。事前に理解して準備を進めれば、生活の質という面で得られるものは大きいと感じています。
- リモートワーカー
- アウトドア好き
- 子育て環境を重視する人
上記に当てはまるなら、静岡は有力な選択肢になると思います。まずは週末を利用して現地を訪れ、「ここで生活できるか」を肌で感じてみてください。
静岡市そのものの魅力については、こちらの記事で詳しく紹介しています。


